遠藤コラム第6回「ビジネスマンとしての基本を学ぶ!リンク・ワンとの出会い」
前回のコラムでは、ワタミ入社後、30歳までに独立するという夢を達成した時と、その時に学んだことをお話しました。その話はこちらをご覧ください。
独立から5年後、いろいろな事情が重なって撤退することが決まった後、当初は新しい物件を探しながら、移転するための方法を模索していました。
移転先を探しつつ、求人誌で転職先を探していたところ、とある会社の求人に目が止まりました。
それが、「リンク・ワン」という会社でした。
リンク・ワンとの出会い
リンク・ワンに興味を持ったきっかけは、求人誌に、「ファブレスカンパニー・店舗を持たない飲食業」というメッセージが掲載されていたからです。
ちょうど撤退した唐変木の新店舗を探しており、家賃を含めた立地選定の重要性を痛感していた時期で、「固定費(家賃)の負担が軽くなれば、出店の可能性は広がるのになあー」なんて事を考えていたので、「店舗を持たない飲食業」というメッセージは、私の思考のど真ん中を撃ち抜かれた感じで、ものすごく興味がわきました。
そして、何度も入社面接を繰り返し、リンク・ワンの入社が決まりました。
会社は起業して日が浅いベンチャー企業で、ちょうど私が入社した時は、これから「某・宅配寿司チェーン」の立ち上げをサポートする準備をしていた時期でした。
先ほど述べたように、ファブレスカンパニーであるリンク・ワンでは、店舗の立ち上げから運営までを一貫してサポートすることを業務としていた、飲食のコンサルティング会社でした。
入社して数ヶ月間、「某・宅配寿司チェーン」の立ち上げトレーナーになるための研修とOJT指導を受け、実際に1店舗の立ち上げサポートを行ったのち、マネジャーに昇格していただきました。
実は、スーツを着て、都心の本社に出社して、パソコンを持って仕事をすることに憧れていたので、ひとつの小さな夢が達成した瞬間でもありました。
新たな挑戦にワクワクするも・・・入社後は苦労の連続!
しかし、その小さな夢も、あっという間に打ち砕かれます。
今思うと、ワタミの創業時を経験していたり、ワタミ独立制度1号で独立した経験もあり、リンク・ワンに入社した頃は、小さなプライドと共に「この会社で上を目指すぞ!」とギラギラしていたように思います。ですが、あっという間にその小さなプライドは、こっぱみじんとなります。
入社後すぐに、自分が全くビジネスマンとして通用しないということを痛感します。
今まで、現場で調理や接客だけを一生懸命やってきたので、オフィスワークというのを一切知らないんですね。
当時のリンク・ワンのオフィスはいつもシーンとしていて、パソコンのキーボードを叩く音しかしない、常にピリピリとした緊張感のある雰囲気でした。若い頃に観ていたトレンディードラマのような、明るく楽しそうなオフィスとは全く違うんですよ。
笑顔・元気・明るさがモットーの飲食店でしか勤務経験がない私は、ちょっとしたカルチャーショックと言いますか、場違いな所に来ちゃったなと思っていました(笑)
そんな状況なので、最初に苦労したのがパソコンです。年下の社員に、コピペから教わるんですよ(笑)
多少ブラインドタッチくらいはできましたが、コピペは全くできないんです。毎日笑われながらダメ出しをされて、必死で食らいついていましたね。
あまりのストレスで、胃潰瘍になりかけましたよ。(笑)
そして、一番自分の足りなさに気付かされたのが、論理的思考力や、マネジメント力の足りなさでした。
部下のやる気を引き出す事は興味があったり、どちらかと言えば得意だったり、好きだったりしていたのですが、ビジネスのために論理的に思考すること、業務を管理するための真の意味でのマネジメント、というものをした経験が無かったんです。
自らの課題に気づき、向き合う日々
マネジメント力やそのために必要な論理的思考力ということが圧倒的に欠如していて、それらを根幹から鍛え上げられました。
まず、マネジメントのベースである、「物事を論理的に考える」ということが、そもそも自分は得意ではない、「論理的思考って、どういうこと?」という状態だったんですね。
数値目標に関しても、「数値目標の事をあまり考えても、この先、何が起きるか分からないから意味がない。それよりも、今を全力で頑張ることが大事。そうすれば数字は後から、必ず付いてくる」と思っていました。(笑)
その考えを直さなくてはいけない、論理的思考を身に付けなくてはいけない、と気がついたのは、自分がマネジャーになり、複数店舗を管理するようになってからでした。
自分が1店舗を管理していた頃は、自分が現場に入って、自分が動いて数字をつくる事が可能でした。ところが、マネジャーはそうはいきません。
部下がご支援させていただいている複数の店舗を管理する立場になると、自ら毎日店舗に入る事ができず、遠隔で管理しなければなりません。
自分はマネジャーとして、どのように店舗を管理すればいいのか、どのように動けばいいのか、全く分からなかったんです。
マネジャーは、人を動かして数字をつくる、人を動かして店舗を管理する。
これは自分の中で、今まで経験のしたことがない大きな壁となりました。
リンク・ワンには、毎月、月次目標に対して一番成果を達成した人が評価されるという仕組みがあったんです。
当時よく、「遠藤チームって仲がいいよね、チームワークがいいよね」と言われることがありましたが、毎月の数値結果・成果が出ないのです。
表彰されていくのは、目標(ゴール)を具体的に設定し、ゴールまでの道筋(プロセス)を明確にし、マネジャーが進捗管理を徹底して行っているチームばかりでした。
その様子を見ているうちに、成果が出ないのはマネジャーである自分に責任があるんだな、仲良しこよしだけでやっても仕方ないんだな、と思うようになります。
時には、後輩や部下に自分の能力不足を気づかされることもありました。
チームミーティングで、後輩や部下が会議の進行を努め、正しい問題解決を進めている姿に、「ああ自分にはこういった能力が足りないんだ」と、気づかされたものです。
発生した問題に対して、本質的な原因を追及し、改善策を策定できない状態でマネジメントを続けていると、どういったことが起きるのか。
未達成の原因を追及されると、「チームに一体感が無かったんです。」「店長のモチベーションが下がっていて」としか、答えられないんです。
問題の本質的な原因を追及しないので、部下の成長、チームの成長が止まってしまうんですね。
部下の「やる気・気持ち」も大事なんですが、それだけでは結果として成果が出ず、会社から評価されなくなってしまうんです。
まとめ
トラブルが発生し、上司に「大変なんです!大変なんです!」とまず報告すると、「何が大変なんだ!結論から話せ!」と叱られることから、私のマネジャー業務がスタートしました。
そして、会議の場で「もっと論理的に具体的に報告しろ!」と言われても、「自分では充分具体的に話しているつもりなんですが・・・」「これ以上、具体的にと言われても・・・」という状況が続きました。
しかし、ここで諦めず、上司から「脳から汗をかくほど、考える」ということを徹底的に指導していただいたおかげで、「論理的思考とは何か」「考え抜く事の重要性」を理解することができました。
今までとは違った職場環境になり、壁にぶつかって辛い時もありましたが、自分に足りないものに気がつき、自分の課題と向き合って本当に良かったと思っています。
ここで壁にぶつからなかったら、勢いだけの粋がった兄ちゃんのまま歳をとっていたと思いますよ(笑)
SUNSのコンセプトである、「感じる力」と「考える力」。これは、リンク・ワンでの実体験が大きな背景にあります。
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